「日本は衰退途上国にある」と表現するひとがいます。残念ながら、いまの日本では然りと言わざるを得ないところです。その一方で、2020年のコロナ禍以降渡り歩くように様々な組織の活動に関与し、垣間見えたことがあります。それは、デジタルトランスフォーメーションの名の下に進められる「組織の変革」です。
　この国の全般において、大きな組織から小さな組織までその規模を問わず歩み始められています。その様子に、目指すべきところまでの遠さに果てしなさを感じながらも、1年1年の積み重ねから1歩1歩進んでいく組織の変化にかつてない思いを持つのです。少なくともこの四半世紀にはついぞ感じることのなった「希望」です。
　経営から現場まで、「組織を変えていく」という同じ方向感を捉えながら、ともに考えともに進んでいく。もちろん、もとよりこうすれば良いという正解などがある世界ではありません。ですから、今、組織そのものが「アジャイルとなる」、なっていく必要があるのだという前提が芽生えてきています。
　こうした変化を、その最前線から広く伝えていくことは、これから「アジャイル」に変わっていこうとする組織にとっての新たな「目印」となると考えています。それは、どこからはじめて、どこへ向かって踏み出せばよいのか、不確実性の高い変革の道中へと臨む人たちにとっての手がかりに他なりません。
「日本は衰退途上にある国である」という結論を、次の世代に伝えていくことが、今、組織に関わるものとしての役割とは到底思えません。私達ができることとは、前進した組織のいまここを引き渡すことのはずです。どこまでたどり着き、そして、次にどこへ向かうのか。それぞれの組織における再定義（ReD）の物語をここで分かち合いましょう。

株式会社レッドジャーニー 代表
市谷 聡啓